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古畑種基氏の本



昨年ロースクールで押田茂實先生の法医学の講義を受けていたのだが
その中で、先生が法医学分野に初めて興味を持ったきっかけとして紹介していたのがこの本だった。
自分は元々下山事件に興味があったので、
下山総裁の轢死体の鑑定をした人物として古畑種基氏の名前を知っていた。
なのでこれも何かの縁だと思い、古書で購入することにした。
現在Amazonのマーケットプレイスだと送料含めて1500円ほどだが、去年買った時はもう少し安かったと思う。

本の内容は、古畑氏がそれまで鑑定を担当した事件の中から興味深いエピソードをいくつか選び、それを紹介するもの。
何しろ昭和30年代前半の本なので載っている事件は全てそれより古く、
中には大正末期の事件もあるのでそれなりに資料的価値はあると思われる。
基本的に「迷宮入りかと思われた事件だったが、とあるきっかけによる鑑定の結果、犯人が見付かった」という
起承転結スタイルのものが多く、読み物として面白い。

しかし、講義で押田先生もおっしゃっていたが、
この古畑氏の鑑定には複数の事件に関して疑義があり、
中には完全に冤罪であったことが裁判により証明された(被告人となり刑を執行された者が再審無罪)ケースもある。
この本に載っている弘前大教授夫人殺人事件(奈須隆さんの冤罪事件)が顕著な例で、
それがきっかけでこの「今だから話そう」と、岩波から出ていた「法医学の話」は絶版となったという。

この事件については上記Wikiに詳しいが、
要するに、シャツに付着した血痕の血液型を元に殺人の「犯人」が特定されたが、
その鑑定はかなり無理があるもので(また証拠自体が捏造されたともいう)、結果としてやはり冤罪だったというもの。
この事件の場合、真犯人が現れたことで冤罪が証明されたが、
そうでなければ那須さんは一生「真犯人」として扱われていたであろうだけに、その闇は深い。

特にこの事件の鑑定における確率論を用いた判定
(シャツの血痕の血液型と被害者の血液型が同じだからといって
シャツの血痕が被害者の血液だとはいえない。
同じ血液型の人は他にもいるからで、当時の弘前市だけでも統計的に900人はその血液型の人がいた。
しかし古畑鑑定では、誤った前提を元に、シャツの血痕が被害者の血液である確率は98.5%だと算出してしまった)
については、古畑氏の死後になってから再審無罪の判決が出された点を含め、現在でも強い批判がある。

むろん古畑氏が権威ある法医学者であることには疑いがないのだが、
この事件を始めとするいくつかの冤罪事件によりその評価が揺れていることもまた事実である。
「鑑定結果」と聞くと何となく真実が書かれていると思いがちであるが、
あくまでそれは人間の判断にすぎないことをもう一度肝に銘じ、
可能な限り無辜の人間が罪を被ることのない社会を作らねばならない。

【今日のまとめ】
それがあるから死刑は怖い。


というわけで。
  1. 2014/06/17(火) 20:00:00|
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