からぱた屋(残念ながら完売御礼)予約受付中の時にもエントリを書いたが、
尊敬しているすごい人、
からぱた氏の写真集が発売され、家に届いた。
開封してページを開いた途端に笑みがこぼれる。
写真の良さは言うまでもないが
ああ、こりゃもう紙の本が終わってる場合じゃないわ、
印刷屋潰れてる場合じゃないわ、というのが
難しい理屈抜きでダイレクトに伝わってくるから。
まずサイズの時点で紙じゃないと駄目だ。
B5判の横綴じの見開きを原寸大で表示できるタブレット、無いよね
(あったとしてもそんな物を持っている人物に会ったことはない)?という話。
だから「このサイズで写真を見せたい」ってなった時点で既にデータでは駄目。
「データじゃなくて本である意味」というのが2秒で分かってしまう偉大な本なのである。
サイズ面のみならず画質もそうで、
この世は残念ながら見る側が全員同じデバイスを一様に持っているサイバーパンクな世界ではないわけで
これをこう見せたい、と思ったら直接印刷屋さんに紙指定、色指定をして
「そのもの」をそのものとして直接ユーザーに配布し、それを見せるしかない。
だから、どっちが良いか、ではなくて
そもそもデータで売るという選択肢は初めから存在しない。
これって雑誌にも同じことが言えるよな、と常々思っていて
A4判を原寸大で見られて、かつ各種変判にも対応できるタブレットなんて存在しないし
小さい端末でいちいち拡大して見るのもあまりも面倒だ。
Amazonの某雑誌のKindle版には
"本誌は固定レイアウト型/カラーの電子版です。
端末によって見え方が異なりますので、ご購入前にお使いの端末にて「無料サンプル」をお試しください。"などと書いてあるが、そんなの試す暇があったら紙で買うし、
そもそも雑誌は1ページから順番に読んでいくものでもないしで、やはり根本的にデータ販売と相容れない
(ちなみに、自分は電子書籍そのものは大好きだし
小説なんかはむしろ紙に勝ってるんじゃないかなどと思っている側の人間である)。
思えば、氏は雑誌を作っていた人なのだった。
そしてそれを辞めた直後に地球の裏側に旅行に行って撮ってきた写真で作った本がこれなんだと思うと
(もちろん本人がどう考えているかは知らないけれど)さもありなん、である。
写真集の内容についてはもっと文章の上手い人たちが既にたくさん
感想を書いているので
自分はただただ「すごい」と言うに留める。
ただ、「これを見て自分も行きたくなった」系の感想に対しては
もしそれが、「行けば自分もこれと同じ景色を見られる/撮れる」という意味なのだとしたら
行かないでこの本をずっと見ていた方が良いんじゃないの、という気がした。
カメラは「真実を写す機械」ではない、というのは氏の言である。
でもまあ、行きたくなるよね。
【今日のまとめ】
ドバイで競馬見たい。というわけで。
- 2014/03/09(日) 20:25:21|
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