GRAPEVINEの新曲「Gifted」がリリースされた。
1分近いイントロで始まる、とても令和に発表されたシングル曲とは思えない作りだが、
その実は、いまを生きる若者に向けられたひとつの応援歌である(とオレは解釈した)。
「
あなたに光が届く時、世界が動き始めます。」
この田中和将のコメントを見る限り、それはきっと間違いではないと思う。
大人たちや世の中の不条理に対して、「うっせぇわ」と言い返す。
それは若者に認められたひとつの抵抗の術だ。
しかし、汚物を処理するとき、その手が一度はその汚物に触れてしまうように、
言い返すということは、その対象への接触を不可避的に伴う。
自分を抑圧するものや、自分を軽んじるものに対して関わるのは時間の無駄だ。
「
どれもこれももういい/さよなら」とだけ言い放ち、あとは自分たちで勝手にやっていく。
それも同じくひとつの抵抗の術である。
GRAPEVINEは、直接的な励ましや応援のメッセージを歌うことはない。
それは今回も一貫している。
だが、直接的な言葉はなくとも、はっきりと伝わるものがある。
それは、「すべてのありふれた光」でも感じた、老成したGRAPEVINEと田中和将の醸し出す父性のなせる業だ。
光について歌いながら、ずっとその隣にある日陰を見続けてきた彼らだからこそ、
いまを生きる若者に寄り添うことができる。
「すべてのありふれた光」と「Gifted」のどちらのMVにも、赤い車が登場する。
それは偶然かもしれないし、そうではないかもしれない。
【今日のまとめ】
野音で聴くのが待ち遠しい。というわけで。
- 2021/03/18(木) 21:42:48|
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