これまでに何度か書いてきたと思うが、オレは、書店というものがあまり好きではない。
どこが好きではないのかと言われると難しいのだが、全体的に、雰囲気が苦手なのだと思う。
また、欲しい本が欲しいときに置いていなかったり、そもそものラインナップが限られているというのもどうにも苦手だ。
Amazonならこういうことは起こらないし、何より、電子書籍で買うこともできる。
このように書くと、オレは何でもAmazonや電子書籍で済ませようとする味気ない人間であるかのように思われそうだが、オレは古本屋は好きだ。
古本屋は、他人から買い取った本を置いているのが普通なので、欲しい本が置いていなくても気にならない。
そもそも、特定の本が欲しくて古本屋に行くこと自体がほとんどない。
また、古本屋に置かれている本は面白い。
内容ではなく、古本それ自体が面白いということだ。
最近はしっかりとクリーニングされたものも多いが、
昔ながらの古本屋の本には、個性がある。
日に焼けていたり、書き込みがあったり、
ときにはいつかの持ち主の名前が書かれていたり、判子が押されていたりもする。
以前買った古本には、病院の領収証が挟まっていたこともあった。
その料金はかなりの高額だったが、その患者はいまも元気にしているのだろうか。
本の個性から、かつての持ち主たちの素性を勝手にプロファイリングしていく作業は、スリリングで楽しい。
自分がもし死んだら自分の持ち物をどうするか、ということはよく考えるが、
オレは、少なくとも所有する本のうち、ある程度の価値があると思われるものについては、信頼のおける古本屋に委ねたいと考えている。
それらの本が、古本屋を媒介として、再び誰かの手に渡るかもしれない。
そうなったとき、その次の持ち主は、果たしてオレのことをプロファイリングするのだろうか。
無駄な消耗かもしれないが、そんなことも考えてしまう。
【今日のまとめ】
パラフィン紙の質感もいい。というわけで。
- 2018/10/14(日) 20:00:00|
- 日記
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本についてのいい話ですね。
私も、古本は沢山所蔵しています。「征くぞ、予科練合格」と書いてあった古本も持って居ました。
貴重な本も数冊あるので、それは別に箱に入れて保管しています。やはり自分に何かあったときは、どうしようかと考えますよね。
- 2018/10/14(日) 22:08:29 |
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- 大野 #-
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いつもコメントありがとうございます。
戦時中のそうした本などは資料価値も高そうですね。
自分の家には、古本というよりは単に「古くなった本」ですが、
土地柄(私は谷中村民にルーツがあります)、田中正造関連の古い本が数冊あります。
いい本は手放したくありませんが、
それでも、自分がいなくなった際に価値を理解しない家族などに捨てられてしまうよりは、
それを必要とする人の手に渡ってほしいものですね。
もっとも、どうやってそうするかは、今後も考えたいところです。
- 2018/10/14(日) 22:17:00 |
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- キムラヤスヒロ(鳩) #-
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私の先祖も谷中村です。大野子之助、水野彦市、間明田粂次郎が高祖父にあたります。大野子之助は木村孫三郎さんと同じく古河に移りました。
- 2018/10/14(日) 22:21:05 |
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- 大野 #-
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コメントありがとうございます。
そういえば、大野さんに最初にコメントをいただいたのも、その谷中村の話がきっかけでしたね。
元村民の名簿をあらためて見ますと、木村や大野という名字はどちらも多くおり、
当時の谷中村の集落性(とでも言えばいいでしょうか)が感じられるところです。
- 2018/10/15(月) 22:00:29 |
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- キムラヤスヒロ(鳩) #-
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