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「国民の父」がいない日本

先日、ある少年漫画雑誌に掲載された漫画にチンギス・ハンを侮辱する表現があり、
それを目にした元モンゴル人横綱がTwitter上で反応し、結果的に出版社がモンゴル大使館に謝罪することになったというニュースを目にした。

オレは、その漫画についてどう思うかとか、表現の自由がどうだとかいうことには立ち入るつもりはない。
ただ、オレは、「日本で言ったらこういうことと同じだ」という状況に今回の事態を置き換えられないことこそが、このような事態を引き起こしているのではないかと感じた。

モンゴルにおけるチンギス・ハン、ベトナムにおけるホー・チ・ミン、トルコにおけるアタテュルク、北朝鮮における金日成のような存在は、それぞれの国において国民の父のような存在だ。
だから、チンギス・ハンを侮辱した漫画を書くことはおろか、日常会話でほんの少し悪く言っただけでも、
その国の国民は己を侮辱された気分になり、反射的に顔を真っ赤にして激怒する。
それは当然のことだ。

だが、日本にそんな存在がいるだろうかと考えると、思いつかない。
源頼朝や織田信長や徳川家康を外国人に馬鹿にされても、一部の歴史マニアは激怒するかもしれないが、
多くの人は、仮に多少気分を悪くしたとしても、そこまで怒りはしないだろう。
たとえ天皇陛下を悪く言われたとしても、多くの人は反射的に激昂するレベルにまでは至らないと思う。
おそらく、反射的に怒りはしないが、「これについて抗議しないのは国際社会で馬鹿にされる」などと誰かがTwitterで騒ぎ、結果的に炎上するというワンクッションが介入することになるはずだ。
それはポーズであって本当の怒りではないので、
やはり、日本に、全国民が真っ先に思い浮かべるレベルで共通する「国民の父」のような存在はいないといえる。

そのことが、今回のような問題を生じさせたのだろうと思う。
今回問題になった漫画の描写は、言われてみれば確かにひどいが、過去に例のない描写であるとはとても思えない。
探せばもっと酷いものがいくらでも見付かるレベルだ。
だが、モンゴルの人々にしてみれば、自らの父を侮辱されたのと同じなのだから、激怒するに決まっている。

要するに、日本人は、「日本の父」がいないゆえに、
「自分たちが同じことをされたらどう思うか」ということを考えられず、無自覚にこのような描写を行ってしまっているのだ。

こうした行為は、他国との軋轢を生むのだから、もちろん無駄な消耗だ。
だが、無自覚に行ってしまう無駄な消耗は、避けることが難しい。
今回の件であれば他国の歴史や価値観を学ぶことでそれを避けうるが、対処法は個別の場合によって異なる。
あらためて、難しい問題だと感じざるを得ない。

【今日のまとめ】
ラム肉を「ジンギスカン」と呼ぶのはいいのだろうか。


というわけで。
  1. 2018/02/28(水) 21:46:04|
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