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「時給に見合った仕事」という概念

ネット上で、「過剰にサービスを要求する客」についてよく話題になる。
そんな時、それを話題にする人間がよく主張するのが、「時給800円台の人間にそんな要求をするな」というものだ。
その主張をする人間の中に「時給に見合った仕事」という概念が存在することがそこから推測できるが、果たしてそれは妥当なものなのだろうか。

そもそも、時給の問題なのだろうかという問題がまず第一にある。

たとえば、コンビニや牛丼屋の時給が仮に1万円だったとして、
コンビニや牛丼屋が高級ホテルのような接客やサービスをすべきなのだろうか。

コンビニや牛丼屋が高級ホテルのような接客やサービスを行わないし行う必要がないのは、
単にそうした接客やサービスはコンビニや牛丼屋の役割ではないからであって、時給が安いからではない。
それにもかかわらず、「時給800円台の人間にそんな要求をするな」という反論をすることは、
まず反論になっていないし、論点をすり替えて議論を壊してしまう。

また、「時給に見合った仕事」という概念からは、
「この時給に見合った仕事はこのくらいだ」という仕事量を、労働者が自ら決められるという考えが透けて見える。

当然だが、時給や給料というものは雇用主が決めるものであって、労働者が決めるものではない。
労働者が決めていいとなれば、仕事というものは成り立たなくなる。
たとえば、時給850円のアルバイトが、
「自分は仕事をさぼって寝ているだけで時給850円分の価値がある人間なので、
この時給なら私は寝ているだけで時給に見合っているから何もしません」と言い出したら、その店の経営は成り立たない。

あくまで給料は雇用主が決めるものだ。
労働者には辞める権利があるので、その給料が自分の仕事に見合わないと思ったなら、辞めればいい。
もちろん、「見合わないと思っていても、そんな簡単に次の仕事が見付からないので辞めるわけにいかない」という反論があるだろうが、
それはあくまで社会が解決すべき現実の問題であって、原則を曲げていい理由にはならない。

「時給に見合った仕事」という考え方は、一見正しいようで、上記のようにあらゆる点で妥当しない。
妥当しない主張を一生懸命行っても、それは無駄な消耗でしかない。

【今日のまとめ】
裁量労働制だとどうなのかという話にもなるが。


というわけで。
  1. 2018/02/27(火) 18:37:59|
  2. 日記
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