最近、高速道路に興味が湧いてきたこともあって、建設誌を中心とした高速道路関連の書物を数冊購入した。
いずれもきわめて専門的なもので、物理的にも内容的にも重厚なので軽く読み流すには向かないのだが、
こうした書物を買うしかなかったという事情もある。
というのも、鉄道や航空などの分野と比べ、同じ交通機関であっても、道路関連の書籍は数が明らかに少ない。
オレ自身これまで道路にはそれほど関心がなかったし、
おそらく社会的にもそうした傾向があって、愛好家の市場規模が少ないのだろう。
どれも昭和に刊行されたもので、名神の建設誌など古いものは印刷から50年以上経っているが、状態はいい。
日焼けや小さなシミなどはあるが、本文は鮮明で、読む上での支障はまったくない。
いずれも2000円前後(一冊だけ3000円強だった)で購入できたのは、ネット上での相場を見ても悪い買い物ではなかったと思う。
これらの書物はいずれも日本道路公団が刊行したもので、非売品である。
基本的には旧公団の関係者に贈呈されたものだと思われる。
それが古書店に流通しているのは、当時これを受け取った関係者が高齢になったか亡くなったかして、古書店に引き取られた結果だろう。
それは重要で、かつ大変にありがたいことだ。
一部の人間にしか流通しなかった書物や貴重な書物をきちんと古書店に委ねるということは、
後世においてそれを必要とする人間にその書物を手渡すための欠かせないプロセスである。
たとえば、独り身の人間が貴重な書物を蔵書したまま死んでしまい、
没後にその価値を理解しない遺族や関係者の手によって処分されてしまえば、第三者がその書物に触れる手段は失われる。
現在でこそ電子書籍の出現によりデジタルコピーが容易になりつつあるが、
その現在でさえ、いまだに印刷書籍としてしか流通しない書物は多く、
こと出版部数の少ないものについては、そのうちの一冊が世の中から失われることは大きな損失となる。
古書店は、そうした損失を防止する砦としての役割を果たす。
貴重な書籍を、誰か次にそれを必要とする人間が現れるまでの間、恵まれた環境で保管する場所として機能するのだ。
そのことを理解してくれていた人間がこれらの書物を古書店に委ねたからこそ、
オレはいま、通常では購入できないこれらの書物を手元に置くことができている。
オレはそうした人間に感謝しなければならないし、
今後オレが体調を崩したり死ぬようなことがあった場合、オレの持ついくつかの貴重な蔵書をしかるべき古書店に委ねられる途を、今のうちから考えておきたいと思う。
【今日のまとめ】
もちろんブックオフも好きだが。というわけで。
- 2017/11/10(金) 22:31:53|
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