今年のJRAのCMは異様だ。
20代の男女がグループで競馬場を楽しむという構図は極めて普通だが、
彼らは場内で飲食をしながら色々と話しているだけで、レースをほとんど観ようとしない
(もっとも、これからレースを観るバージョンのCMが流れるのかもしれないが)。
競馬場には実際にそういう客も多く存在はするが、
JRAのオフィシャルなCMが、そうした、競馬場に来ながらもレースを観ず馬券も買わない客をクローズアップするのは、やはり異様だ。
もっとも、異様だが、それが実情なのだろう。
3場すべての馬券が買えるようになってから(昔は裏開催は準メインからしか買えないのが当たり前だった)、
まともにパドックや返し馬を見て予想して馬券を買うという観戦方法は、現地観戦ではほとんど不可能になった。
明らかに時間が足りないのである。
競馬場では、馬券を買うことに専念するか、パドックで好きな馬を眺めることに専念するか、
スタンドでレース観戦に専念するくらいしかできない。
だから、馬券を本気で買いたい競馬ファンは、競馬場にはなかなか行かない。
現地では予想する暇がない。
家でグリーンチャンネルを見ながら即PATで馬券を買う方が、
レースも楽しめるし、予想の精度も上がるし、交通費や飲食代もかからないので、全体的にプラスだ。
そうなると、JRAは、あまり競馬に興味のない層を競馬場に呼び込むしかない。
競馬に興味のない層は当然レースにも興味がないので、
彼らが金を落とすのは主に場内の飲食店である。
競馬場ではそれなりにうまいジャンクフードがたくさん売っているので、
特に敷地の広い府中では、それらを食べながら場内の芝生に寝転がっているだけでも充分楽しめる。
競馬ファンそのものは減っていないが競馬場に来る競馬ファンが減ったいま、
そうした需要を取り込むことで利益を上げるべく、CMでレースを観ない客をクローズアップするのは賢明な選択だ。
よく、馬がメインのCMにすべきだという声がネット上で聞かれるが、
馬に興味のない人間を引き込むためのCMで競馬色を強くしても効果がない。
それで喜ぶのは既存の競馬ファンだけであって、新規開拓にはならないからだ。
だから、今年のJRAのCMは異様だが合理的であり、オレは納得する。
【今日のまとめ】
ユーミンの方のイメージCMは好きだが。というわけで。
- 2017/01/29(日) 17:17:36|
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