参院選が近付くにつれ、SNS上では選挙に関する言説が入り乱れている。
その中で気になるのは、今に始まったことではないのだが、
「投票に行かない人間は政治に口出しする権利がない」という言説である。
オレには、これがどういった意味なのかがよくわからない。
少なくとも、「投票に行かなかった人間は政治に口出しできない」という旨の法令は、我が国には存在しない。
なので、投票に行かない人間でも、国民として政治に口出しすることは何の問題もない。
投票を権利でなく義務化すれば今後そうした法令をつくることも可能であろうが、
不可抗力で選挙に行けない人の線引きをどうすべきか
(たとえば、診断書がないレベルの体調不良で棄権した人をどう扱うか)が非常に困難なので、現実味がないと思われる。
「投票に行かないことは意思決定を放棄したことと同じだ」という説明でこの言説を支持する人もいるが、それも疑問だ。
たとえば、今回の選挙では自民党が勝利することがほぼ確定的だ。
そうした状況下で、自民党を支持するある人間が投票を棄権したとしても、
その人間の意思通り、自民党は勝利するだろう。
その場合、彼(彼女)は意思決定を放棄したとはいえない。
「自民党に勝ってほしい」という意思決定に基づき棄権したのであるから、それは投票行動として合理的だ。
そもそも、「投票に行かない人間は政治に口出しする権利がない」のであれば、
選挙権のない18歳未満の人間や外国人は政治に口出しできないことになってしまう。
「そうではない、行けるのに行かないことが問題なのだ」と反論するのかもしれないが、
「行けない人」と「行けるのに行かない人」は、具体的にどう違うだろうか。
また、年齢的には行くことができても、様々な事情で投票所に行けない人間はどう扱うのだろう。
そう考えてくると、「投票に行かない人間は政治に口出しする権利がない」という言説に、どんな意味があるのか、なおさらわからない。
「投票に行く意味」を深く考えすぎることが、必ずしもいいことだとはオレは思わない。
投票それ自体は真剣に考えて行ったほうがいいとはオレも思うが、
投票に行くことについては、「そういうものだ」程度に軽く受け流すことが、最も無駄な消耗が少ない。
【今日のまとめ】
出口調査員に遭遇したことがない。というわけで。
- 2016/07/06(水) 20:44:59|
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