中央競馬の上半期総決算、宝塚記念が今年も終わった。
牝馬マリアライトが完勝し、1番人気ドゥラメンテは2着に敗れた。
ドゥラメンテはゴール直後に跛行で下馬し、そのまま馬運車で運ばれる後味の悪い結果となったが、
跛行はゴール後だから、マリアライトは実力で勝ったものといえる。
このレースを中継していたフジテレビの競馬番組は、レース後は終始重苦しい雰囲気で、
最後も「ドゥラメンテが心配です」の一言で締めくくられた。
オレは、これはどうなのかと思った。
ドゥラメンテの故障(この時点では跛行とは発表されておらず、重大な故障の可能性もあった)が心配なのは当然だ。
だが、仮に、ドゥラメンテが故障せず無事に走りきり、下位の馬が同じように故障して下馬していたら、
その馬を心配して番組は終わっただろうか。
おそらくそんなことはなく、スタジオは和気藹々とした雰囲気で番組が進行していただろう。
特定の馬に肩入れすることが番組のスタンスであれば、それがいけないとは思わないし、
嫌なら見なければいいだけの話だろう。
だが、競馬の面白さを伝え、新たな競馬ファンを獲得することを目的として番組をバラエティ調にしているのであれば、
それは避けなければいけないことだ。
かつて、名馬ディープインパクトの出現により、競馬人気は再び加熱したかのように思われた。
だが、ディープの引退とともに、その競馬人気は再び冷めていき、下手をすればディープ登場前よりもさらに客入りは減少した。
それは、ディープ目当てで初めて競馬場を訪れたり、初めて競馬中継を見たファンたちは、
あくまで「ディープインパクトファン」であり、「競馬ファン」ではなかったからだ。
ディープを賞賛し連日のように取り上げるメディアや競馬番組によりディープのファンは増えた。
だが、それはディープのファンでしかないのだから、彼が引退すれば競馬から離れていくのは当然のことだった。
特定の馬に肩入れすることは、そのような結果しか招かない。
ドゥラメンテは素晴らしい馬で、その故障は心配だが、
まずは勝者マリアライトをもっと称えるべきだったとオレは思う。
オレは18年近く競馬ファンを続けているが、
オレがレースとしての競馬のファンで、特定の馬の熱狂的なファンではなかったからこそ、長く競馬を見続けていられるのだと思う。
サラブレッドは必ず引退するし、どんな名馬でも、時には故障によりその場で安楽死処分を受けることもある。
もし、オレが特定の馬のファンで、その馬が安楽死になどなれば、オレはその日で競馬を見ることをやめてしまうだろう。
もちろん馬の引退や死はオレでも悲しく思うが、個々の馬をメインに据えて見ていないからこそ、
そうした悲しみを受け止めて競馬を見続けられるのである。
そう考えると、やはり、
競馬番組やメディアは、特定の馬のみにフォーカスするよりも、全体を意識した構成を行った方がいいと思える。
それが、結果として、特定の馬のファンではなく、競馬ファンを生むことになる。
【今日のまとめ】
かく言うオレも「武豊ファン」なのかもしれないが。
というわけで。
- 2016/06/26(日) 22:19:34|
- 競馬
-
| トラックバック:0
-
| コメント:0