オレはもう何年も前から「
Dr.林のこころと脳の相談室」の「精神科Q&A」を読み続けている。
毎月5日の0時過ぎに更新されるので、その日は夜更かしして一気に読むか、そうでなくても翌日には更新分を全て読む。
全ての内容を記憶しているわけではないが、少なくとも一度は全ての質問に目を通している。
林医師の有名な言葉「興味本位は無関心に勝る」に安心し、
精神病患者に対する、純粋な「異質なもの」への興味を持って読んでいる部分ももちろんある。
だが、オレがこのQ&Aを読むのは、主に、できるだけ無駄な消耗をせずに日々を送るための資料としてだ。
日常生活を送っていて街に出れば様々な人を目にする。
笑っている人もいれば、滅多に見はしないが泣いている人もいるし、
挙動不審な人もいれば、特に何の印象も受けない人もいる。
それは知人であっても見知らぬ他人であってもそうだ。
オレたちは(もしかしたらオレだけなのかもしれないが)、どうしても無意識に、
そうした人たちは自分と同じような精神状態をベースとして、笑ったり泣いたり、不審な動きをしているものと考えてしまう。
だが、この精神科Q&Aを読んでいると、必ずしもそうでないということが分かってくる。
統合失調症などによる幻聴であったり幻覚であったり、解離や離人の症状など、
そうした症状のない人にはイメージすることすら難しい状況に日常的に置かれている人々の様子を、このQ&Aから伺い知ることができる。
そうした精神状況に常日頃から置かれている人がいるという事実を知らなければ、
街で挙動不審な人を見掛けた際、「オレだったら、どういう時にあの人のような不審な挙動をするだろう」と思ってしまう。
だが、その事実を知っていれば、「きっとオレには分からない世界が見えているのだろう」とすんなりと理解することができる
(もちろん、挙動不審な人が全員そうした病気であるわけではないのだが)。
異質なもの、理解できないものに対する恐怖は、それだけで大きな精神的消耗を伴う。
「分かるはずなのに、分からない」ということは苦痛だからだ。
そして、多くの場合、それはその場で答えを出そうとしても解決できないから、消耗は増幅する。
だが、「分かりようがないのだ」と分かっていれば、そもそも分かろうとして悩むことがないので、
分からない恐怖や苦痛を感じずにすみ、結果として消耗しない。
それは、オレが忌み嫌う「無駄な消耗をしない」ことそのものだ。
だから、オレはそのために、精神科Q&Aを読み、
「オレには理解できないが、確かに存在はしている精神状況」のレパートリーを日々増やしている。
【今日のまとめ】
相談者の文章力も魅力だ。というわけで。
- 2016/04/06(水) 22:26:39|
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