ここで法案の是非に立ち入ることはしないし、こう言ってはなんだがそこにオレはあまり興味がない。
ただひとつ気になったのが、反対派の一角が何度も口にしていた「戦争に行くことになるかもしれない」というセリフだ
(それが本当か嘘かという話にも立ち入らない。自分で調べればすぐに分かることだ)。
「行く」というのは、一体何を指しているのか、オレには分からない。
戦争というのは、単なる紛争と違って、土地の奪い合いである。
領土に攻め込まれないように、自国を防衛したり、
あるいは他の国家を侵略・占領し、「自国」そのものを拡大していく。
敗戦により失敗に終わったとはいえ、それまでは一応領土拡大に成功していた大日本帝国は
その領土を、満州国を含む中国東部、フィリピンや現在のインドネシア、パプアニューギニアの大部分にまで拡げていた。
つまり、それらの国は日本の領土であり、日本国内だったのである。
上記の通り、戦争では自国の防衛がまず必要になる。
当たり前だが、自国を防衛できないことはすなわち敗戦を意味するからだ。
そうなれば、当然日本の兵士は、日本国内であるフィリピンやインドネシアに送られることになる。
日本の領土になった場所とはいえ、本土の人間からすればそれらはほとんど外国だ。
旅券は要らなくとも、それらの地域との物理的距離はまったく変わらない。
遠い場所に派遣させられるのだから、それを当時の人は「戦争に行く」と言っていたのだ。
たとえば「ラバウル小唄」などを聞けば、そこが形式的には日本領であっても、
ほとんど「はるか遠い異国」として認識されていたことが分かる。
そんな場所だから、わざわざ「行く」と言っていたのだ。
なら、今はどうか。
日本の領土は、本土と沖縄、そして離島以外に存在しない。
そして、日本国憲法は侵略戦争を放棄しているし、政府は過去の侵略戦争につき謝罪すらしているのだから
今後新たに日本の領土が拡大していくこともありえない。
そうなれば、戦時において日本の兵士(そんなものが将来存在した場合)が守るのは
現在の日本国内だけだ。
いまの日本はたとえ戦時においても「敵地に攻め込む」ことはない。
そうなると、戦争に「行く」ということはやはりありえない。
なら後方支援はどうなのか、という話にもなるだろう。
しかし、支援を行うことになるだろう紛争地帯は
被支援国の領土でも日本の領土でもない第三国であることがほとんどだ。
そんな場所に、自衛隊とは別の兵士をわざわざ徴用して出動させることは
常識的にも、物理的なコスト面からしてもやはりありえない。
もし自衛隊員が足りなければ、単純に「できません」と言って、支援を断って終了するだけの話だ。
支援を要請する側も、自衛隊が支援を依頼するに値するパフォーマンスを発揮する舞台だからそれを要請しているのであって
ルールにそう明記されているからと、たとえ邪魔者であっても数合わせを要求するという本末転倒な事態は生じない。
少し考えれば分かることだが、今の社会はまるでそれを考えてはいけないかのような雰囲気が蔓延している。
【今日のまとめ】
リンガ泊地の歌も欲しい。というわけで。
- 2015/09/21(月) 18:08:24|
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