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怠惰と汗と現実と

キムラヤスヒロ(鳩)公式ブログ

民主主義のいいところであり、悪いところ

夫婦の同姓を定める民法の規定は合憲だとする最高裁の判決が出たとニュースで目にした。

裁判所の判断のターゲットは、「夫婦同姓の是非」ではなく、「当該規定が憲法に違反するか否か」だ。
そうすると、どうやっても合憲になるのは目に見えているので、この判決には驚かない。
「夫又は妻の氏を称する」という規定それ自体は男女平等なので、
あくまで憲法判断という枠組みでは、合憲になってしまう。

もっとも、合憲だからその規定が正当だとか、法改正が不要であるという話ではない。

ここは混同されがちだが、
憲法に違反しないということと、現代においてそれが合理的であるということはイコールではない。

憲法には反しなくとも、立法府の判断で改正された法律はいくらでもある。
そうしたことから、オレは、選択的夫婦別姓は遅かれ早かれ確実に導入されると考えている。

どうせなら、戸籍というシステムも同時に廃止してもらえるとありがたい。
あたかも戸籍は必要不可欠なもののように言われているが、
アジアのごく一部でのみ通用するガラパゴスなシステムにすぎない。
せっかくマイナンバーがあるのだから、そちらで一元管理すればいい話だ。

国の仕組みを大きく変えることは一朝一夕では難しい。
それは民主主義のいいところであり、悪いところでもある。

【今日のまとめ】
単純に「投票には行こう」で片付けられないのがまた難しい。


というわけで。
  1. 2021/06/24(木) 22:28:09|
  2. 法学
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「国旗損壊罪」の妥当性

「国旗損壊罪」を新設する刑法の改正案が、今国会に提出されるという。

現行の刑法には「外国国章損壊罪」(第92条)の規定はあるが、
日本の国旗、いわゆる「日の丸」を損壊する罪については規定がない。
現状、「日の丸」を損壊しても、器物損壊罪(第261条)に該当するだけだ。

提出案における「国旗損壊罪」の法定刑は「2年以下の懲役又は20万円以下の罰金」である。
これは、外国国章損壊罪の法定刑と同一であり、
器物損壊罪の法定刑「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金」よりも軽いので、これ自体は妥当だろう。

もっとも、そうであるならば、
器物損壊罪の範囲で処罰可能な類型について、わざわざ罪を新設する妥当性があるかは疑問だ。

「外国旗を損壊する罪はあるのに自国旗についてはそれがない」というのは一見妥当に思える。
しかし、外国国章損壊罪は「国交に関する罪」であり、
その保護法益は、国際法上の義務ないし国際法秩序により保護されるべき外国の利益である。
自国旗を損壊する行為については少なくとも国際法秩序の問題とはならないので、
外国国章損壊罪と今回の国旗損壊罪をパラレルに考えることはいささか無理がある。

もちろん、国旗損壊罪の成立を求める社会的風潮が高まっているなどの事情があれば、成立の正当性は十分にあるであろう。
しかし、単なる議員立法でこれを正当化させることは、難しいだろうと思う。

【今日のまとめ】
短答のネタは増えるが。


というわけで。
  1. 2021/01/27(水) 21:12:49|
  2. 法学
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ヘイト言論はそもそも「表現」ではない

ある小説が原作となったアニメーション作品の制作が中止となったというニュースを目にした。
作者が過去にSNSでヘイト発言を行っていたことが発端となったらしい。
アニメーションの制作が中止となったのみならず、原作小説も出荷停止となったという。

それだけだと異常なことに感じられるが、どうやら、原作の小説自体にもヘイトを匂わせる設定や描写があったそうだ。
よく「作者の人格は作品には関係ない」という主張を目にするし、オレもある程度まではそれに賛同するが、
その主張は、作品それ自体の内容が何らかの犯罪を構成していたり、攻撃性を有してしまっている場合には妥当しないということには注意を要する。
「『石に泳ぐ魚』事件」という憲法判例が存在するが、あれが好例だ。

この手の出来事があると、決まって、「表現の自由」が主張される。
だが、表現の自由はあくまでも憲法上の権利だ。
憲法上の権利であるということは、表現の自由が保障されるのは、それが国家と個人との関係においてであるということを意味する。
そのため、私企業が、(おそらく事前の契約条項に基づき)自社で出版された本を出荷停止にしても、表現の自由の問題には通常ならないということに注意を要する。

仮に憲法が私人間にも適用されるという構成を採った場合でも、今回の事案において「表現の自由」を主張することは困難だと思われる。
なぜなら、ヘイト言論はそもそも(表現の自由により保護される)「表現」ではないと考える余地が大きいからだ。
凶悪な表現であっても「表現」には含まれるが、それが特定の国家や人種に対する攻撃的な発言である場合には、「表現」に該当する可能性は限りなく小さくなる。
このことは、憲法14条1項後段が、差別的取扱いが絶対的に禁止される類型として、真っ先に「人種」を挙げている事実からも裏付けられる。

これら複数の点から、今回のアニメーションが制作中止となり、小説が出荷停止となったことはやむを得ないと思われる。
また、こうした事情から、他の描写(例えば性的なものなど)を原因として類似の措置が採られるという可能性も考えにくい。
あまりにも事情が異なるからだ。

だが、この国では、ヘイトの有する重大性があまり強く認識されていないゆえ、それらが同列に語られてしまう。
この認識の誤りが結果的に新たな類似の事例を生んでしまうことは大いにあり得、それには気をつけなければならない。

【今日のまとめ】
ツイ消しが捗る。


というわけで。
  1. 2018/06/07(木) 22:58:00|
  2. 法学
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憲法を改正するかしないかの議論など、そもそも必要がない

きょうは憲法記念日だそうだ。
テレビでも、憲法改正の賛否について、政治家や有識者が討論する番組が放送されている。

オレは、憲法を改正するかしないかの議論など、そもそも必要がないと思っている。
なぜなら、国民投票を経なければ、憲法は改正できないからだ。

これは憲法で決まっていることだ。
政治家や政府が改正したいと思ったから改正できるものではないし、野党が改正したくないと思ったから改正されないというものでもない。
オレたち国民(読者の中には国民でない人もいるかもしれないが)が、改正するかしないかを投票して決めるのだ。
もしその結果、賛成多数で改正されれば、国民の多くは改正を望んでいたということだし、その逆も然りなので、誰も損はしない。
議論をするまでもなく、仮に討論会があれば言うつもりだった自分の考えを国民投票の場で表明すればいいだけだ。

仮に、改正された結果、オレたちにとって何か不都合なことが起きたとする。
そうなったら、また改正すればいい。
憲法には、「一度改正したらまた改正してはいけない」などという条文は存在しない。
理論上は、改正されたその翌日にまた改正することも可能だ。
改正されたら終わりだ、などと考えている人は、その点で間違っている。

改正された後の憲法の運用に疑問を持つ国民が大多数になれば、
その大多数によって選挙で勝利した政府与党が憲法改正に乗り出し、再び憲法は改正され、その問題点は修正される。
それだけのことなのだが、メディアや多くの人間は大騒ぎしている。
政治家が大騒ぎするのはパフォーマンスなのだが、それを本当の騒ぎだと思い込んでいるのだろう。

ここまで書けば自明のことだが、
憲法改正を大ごとだと考えるのは、言うまでもなく、無駄な消耗である。

【今日のまとめ】
実際に国民投票を経験してみたいという気持ちもある。


というわけで。
  1. 2018/05/03(木) 22:37:19|
  2. 法学
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憲法、民法、刑法の基本的な知識は、義務教育で教えるべきだ

先日、SNS上で、「小学校では道徳よりも法律を教えるべきだ、その方が思想信条の押し付けにもならない」という旨の意見を目にした。
オレもそう思う。

少なくとも、憲法、民法、刑法の基本的な知識は、義務教育で教えるべきだとオレは思う。
勘違いしないで欲しいが、オレは別に司法試験やその他公務員や法律職の試験のような難しい勉強をしろと言っているのではない。
単純に「こういう場合はこうだ」ということを覚えるだけなら、小学生でも可能だ。

たとえば、刑法の基本的な知識を覚えるだけで、いじめは一定程度減少するだろう。
こうした行為は傷害罪で、何年以下の懲役だとかいうことを教えれば、
少なくとも、「このくらいなら許される」という無知でクラスメイトを殴ったり蹴ったりしていた生徒は、それをしなくなる。

道徳や倫理は、相手の感情を想像することが必要となる。
それは生きる上で必要なことだが、発達障害の人間やサイコパスには、そうした想像が困難であることが多い。
道徳や倫理に基づく行動を教え込むことは、彼らやその周囲の人間にとって不幸な結果をもたらしかねない。

それよりも先に、「この行為は、法律ではしてはいけないことに決まっている」と教育すれば、
少なくとも機械的に違法な行為を避けさせることができる。
その後で、「なぜその行為は法律で禁止されているのか」というフォローアップを行えば、それは道徳や倫理の勉強にもなる。

オレは大学の法学部法律学科を卒業した。
しかし、法律学科で法律をみっちり教え込まれたかというと、そんなことは全くなかった。
ロースクールの既習者コースも、法律を既に学んできたことを前提に授業をしている。
法律家を養成する専門職課程でさえそうなのだから、現状、基本的な法律を受動的に教え込まれる機会はこの国においてまず存在しない。
教員の新たな養成が必要とはなるが、義務教育における基本的な法律知識の教育は今後欠かせないものとなるだろう。

【今日のまとめ】
憲法教育は野党から批判されそうだが。


というわけで。
  1. 2018/04/27(金) 20:00:00|
  2. 法学
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